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あの芸能人も!? 卵子凍結と女性の選択

[2023.09.13]

近年、女性の生涯設計において、卵子凍結 という選択肢が増えてきました。卵子凍結は女性の生殖能力を一時的に”保存”する医療技術で、キャリアやパートナーシップ、健康状態など、さまざまな事情で子供を持つタイミングを遅らせたい女性にとって、貴重なオプションとなっています。

芸能人と卵子凍結

卵子凍結は、我々一般人だけでなく、芸能人にも注目されています。その一例として、アメリカの人気リアリティ番組「Keeping Up with the Kardashians」で知られるキム・カーダシアンが卵子凍結の経験を公に語ったことは広く報道されました。海外の多くの芸能人(パリス・ヒルトンさん、オリビア・マンさん、セリーヌ・ディオンさん、ソフィア・ベルガラさん、エイミー・シューマーさん、リタ・オラさん、レベル・ウィルソンさん、ホールシーさん、コートニー・カーダシアンさん、ソフィー・モンクさん、クリッシー・テイゲンさん)が、卵子凍結を選択しています。

日本でも同じような動きが見られます。「3時のヒロイン」の福田麻貴さん、フリーアナウンサーの山口真由さん、プロスノーボーダーの竹内智香さん、お笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーさん、そして女優のだいたひかるさんなど、様々な職業の芸能人が卵子凍結を選んでいます。
彼女たちは、公に卵子凍結を語ることで、多様なライフスタイルや選択肢を持つ女性のロールモデルとなり、社会に新たな議論を提供しています。

卵子凍結のメリットとデメリット

メリット

卵子凍結には、3つのメリットが存在します。

  • メリット1 若年時の卵子の長期保存が可能
    最初のメリットは、女性が年齢を重ねていくにつれて、その時点で 排卵 する 卵子 もまた年を重ねてしまう問題を緩和することができる点です。しかしながら、若い時期に凍結された卵子は、その若さを保持したままです。これにより、染色体異常や発育停止といった問題が起こりにくく、妊娠や出産に成功する可能性が高まります。
  • メリット2 未来のリスク対策としての有効性
    2つ目のメリットは、卵子凍結が将来的なリスク対策として有効である点です。疾病や事故、不妊症などにより自然に妊娠が困難になる可能性がありますが、このような状況下でも凍結卵子があれば、妊娠の可能性を維持することができます。これが、卵子凍結が将来の保証として認識されている理由です。
  • メリット3 妊娠のタイミングに柔軟性を持たせることが可能
    3つ目のメリットは、通常、妊娠適齢期とされる20~35歳という期間に対して、より柔軟性を持たせることが可能である点です。人生の一大イベントである妊娠や出産、そしてその後の子育ては大きな責任と時間を必要とします。仕事と家庭生活を両立するのは容易なことではありません。しかし、卵子凍結により、女性はそのタイミングに柔軟性を持たせ、自分に最適な時期を選ぶことができます。

デメリット

一方で、卵子凍結には以下の三つの欠点があります。

  • デメリット1 費用がかかる
    最初のデメリットは、卵子の凍結は自己負担となり、その費用が高額であることです。病院によって費用は異なりますが、凍結卵子の管理には毎年の維持費用が発生します。
  • デメリット2 副作副作用やリスクが存在する
    2つ目のデメリットは、卵子凍結には一部の副作用やリスクが伴うことです。採卵の際に用いる排卵誘発剤の副作用として、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発生する可能性があります。これは、卵巣 が過剰に刺激され、腫れたり、お腹や胸に水分が溜まる状態を指します。重篤な場合、腎臓の機能障害や血栓症などが発生することもあります。また、採卵時には出血や感染のリスクも伴います。
  • デメリット3 新鮮卵子に比べて妊娠成功率が低い
    3つ目のデメリットは、卵子凍結の場合、新鮮な卵子や 受精卵凍結 に比べて、妊娠成功率が低いことです。卵子は凍結や融解といった処置によってその品質が影響を受けやすく、発育停止のリスクもあります。凍結卵子を用いた治療成績は病院によって異なりますが、必ずしも妊娠が成功するとは限らないことを理解しておく必要があります。

卵子凍結の最大のメリットは、女性が自身のライフタイム計画により自由に対応できるという点です。卵子の老化を”止める”ことで、女性はキャリア構築やパートナーとの関係構築に集中することができます。
しかしながら、卵子凍結は必ずしも成功を保証するものではない点、そして高額な費用がかかるというデメリットも忘れてはなりません。

卵子凍結の費用について

卵子凍結は保険適用外のため、全額自負担となります。その費用は、病院により変わるのですが、採卵は大体15~50万円、そして卵子1つにつき1~5万円ほどとなります。

採卵のコストは卵子の数に影響する?

これは病院によります。卵子の数によって採卵の費用が変動するところもあれば、一律の費用がかかるところもあります。卵子の凍結保管料は、卵子の数や保存年数によります。

目標数未満の卵子しか採れなかったら?

採卵では卵胞から卵子を採取しますが、中には卵子がない空胞があることもあります。これは採卵してみないと判明しません。空胞が多い、あるいは全てが空胞だった場合もあり、その際は一部の病院では採卵の料金が削減されることがあります。

卵子を凍結した後の保管費用は?

卵子を適切に保存するためには、専門の環境での保管が必要です。その費用は、凍結保存容器1本(2~3個の卵子が保存可能)につき、年間で大体2~3万円程度となります。ただし、これは病院によります。

凍結卵子を使用する際のコストは?

凍結した卵子を使って胚移植を行うためには、卵子の融解・顕微授精・胚培養・胚移植などが必要となります。自己負担の費用は以下の通りです:

  • 卵子の融解:約1~2万円
  • 顕微授精:約5~13万円(卵子の数による)
  • 胚培養:約5~11万円(卵子の数による)
  • 胚移植:約8万円

助成金の支給はありますか? 医学的に必要な卵子凍結については、助成金が出る場合があります。2023年1月の時点では、社会的背景からの卵子凍結については公的助成はありません。しかし、2024年4月からは不妊治療が保険適用となる動きがあり、それにより社会的な理由で卵子を凍結するケースに対する助成も広がることが期待されています。令和2年までは経済的支援を行う自治体があったものの、国の助成はありませんでした。しかし、令和3年からは「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」として助成が始まりました(43歳未満で医師の評価が必要)。

この助成制度では、卵子凍結について1回あたり20万円(上限2回まで)、そして凍結した卵子を使用した生殖補助医療については1回25万円(40歳未満で最大6回、40歳以上43歳未満で最大3回まで)が助成されます。

卵子凍結のプロセス

卵子凍結のプロセスは、まず超音波検査とホルモン検査で 卵巣 の健康状態をチェックします。その後、卵子の成熟を促す ホルモン補充療法が開始されます。卵子が成熟したら、手術によって卵子を採取し、液体窒素で凍結保存します。卵子の採取は全身麻酔下で行われ、その後の回復期間も必要となります。

「未受精卵の保存」と「受精卵(胚)の保存」の2つの方法がある

一般に、「卵子凍結」というと、「未受精卵の凍結保存」を指すことが多いです。これは文字通り、受精する前の卵子を保存する方法です。これに対して、「受精卵の凍結保存(胚凍結)」は、受精後の卵子、つまり胚を保存する手法です。
この胚凍結は、将来妊娠するためだけでなく、不妊治療の一環としてもよく行われます。例えば、良好な状態の胚が多く作られたケースや、体調を整えるためにその周期では胚移植を行わない場合などです。未受精卵凍結と比べて、凍結と融解による影響が小さいため、パートナーが存在する場合、受精卵凍結を選択するのが一般的です。

未受精卵の採取から保存までのプロセス

卵子を凍結する際には、最初に診察と検査が行われます。問診、内診、超音波検査などで卵巣の健康状態や可能性のある疾患を確認します。何ら問題がなければ、以下の手順で卵子の凍結が進められます。

  1. 排卵の促進
    多数の卵子を一度に採取できるよう、排卵誘発剤を使用して複数の卵子の成熟を促進します。排卵誘発剤には飲み薬や注射などがあり、患者の状況に応じて医師が適切な方法を選択します。また、自然の排卵を待つ手法もあります。
  2. 卵子の採取
    卵子が十分に成熟したところで、採卵を行います。超音波検査を用いながら、膣から卵巣へ針を挿入し、成熟した卵子を取り出します。痛みは個々によりますが、多くの場合麻酔が使用されます。
  3. 卵子の凍結
    採取された卵子の中から最良のものを選び、子宮内に移植します。移植した胚が子宮内膜に着床すると、妊娠が成立します。妊娠が成立した後は、自然妊娠と同じ流れで進行します。

以上のステップを経て、凍結した未受精卵から妊娠するまでのプロセスが完成します。全てのステップは専門的な知識と技術を必要としますが、医療技術の進歩により、今日では多くの女性が卵子の凍結と解凍を利用して、自分のタイミングで妊娠・出産を選択することが可能となっています。

凍結した卵子を使用することで、女性は自分の生殖能力を自分自身でコントロールすることができ、キャリアや健康状態など、さまざまな要素を考慮しながら、最適なタイミングでの妊娠を選択することが可能となります。

卵子の凍結という選択肢があることを知ることは、全ての女性にとって重要です。しかし、このプロセスは必ずしも簡単なものではなく、また全ての女性に適している訳ではありません。各自の身体状況や生活状況により、最適な選択が異なるため、専門的な医療アドバイスを求めることが非常に重要です。医療専門家としっかりとコミュニケーションを取りながら、自分に最適な選択をすることが望ましいです。

社会的影響と未来の展望

卵子凍結は、女性のライフスタイル、キャリア形成、そして家族構成に対する視点を変えています。自身の時間を自由にコントロールできるようになると、女性は生涯の計画を立てやすくなります。また、自身の健康や子供の健康を考える際の選択肢が広がります。

しかし、卵子凍結が一部の女性にとっては有益な選択である一方で、社会全体が女性の生涯設計をより柔軟に考えること、職場での女性のキャリア支援や育児支援の体制を整備することも重要です。

芸能人の体験談

芸能人の中にも卵子凍結を選んだ人々が増えていますが、それはそれぞれの人生観、価値観、そして生涯設計に基づいたものです。「3時のヒロイン」の福田麻貴さんは、インタビューで卵子凍結を選んだ経緯を語っています。フリーアナウンサーの山口真由さんは、記事で自身の体験を共有しています。プロスノーボーダーの竹内智香さんは、卵子凍結を選んだ理由とその後の経過を語っています。バービーさんは、「結婚しない決断」と「産まない決断」とは異なるもの。子どもを持つ可能性についてだけは、切り捨てられなかった。いつかどんな機会や衝動がやってきてもいいように準備だけはしておこう。と卵子凍結を選んだ理由を記しています。女優のだいたひかるさんは、卵子凍結という選択を公にしています。

卵子凍結を選択するということ

あの芸能人も選んだ卵子凍結は、子供を望むタイミングを自分で選ぶことを可能にします。しかし、その選択は決して容易なものではなく、様々な側面を考慮する必要があります。それらは費用、身体的・精神的負担、そしてその成功率です。最終的には、各々の女性が自身のライフスタイル、価値観、健康状態を考慮し、専門家と相談しながら最良の選択をすることが重要です。

彼女たちの経験を通じて、我々も多様な女性の生涯設計を理解し、それを尊重することが求められています。卵子凍結は、選択肢の一つとして存在しますが、それが全ての女性に適した選択であるわけではありません。最終的に重要なのは、一人ひとりが自分自身にとって最適な選択をすることです。

まとめ

卵子凍結のテクノロジーは、今後さらなる進化を遂げるでしょう。それに伴い、社会全体が女性の生涯設計を支える体制を整備し、より多くの選択肢を提供できるようになることを期待します。

卵子凍結という選択は、まさに私たちが生きる現代社会における女性の生活と生涯設計の一部であり、それぞれの価値観と目標によって異なる形で選ばれるものです。それを念頭に、私たち一人ひとりが自身の選択を尊重し合い、理解し合えるといいですね。

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