
高額療養費制度の概要
高額療養費制度とは、1ヶ月(1日〜末日)の間に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額が健康保険から払い戻される制度です。
つまり、高額な治療が必要になった場合でも、実際の負担額には上限が設けられています。
同一世帯で同じ健康保険に加入しているご家族や他の医療機関で支払った医療費も合算して申請できます。
払い戻しの申請は診療月の翌月初日から2年以内に行う必要がありますので、お早めに手続きしてください。
高額療養費制度の対象
対象となる治療
健康保険が適用される診療(保険診療)が対象となります。
当院の治療
- 初期検査(血液検査、ホルモン検査、超音波検査、AMH検査など)
- 体外受精(IVF)
- 着床不全検査
- 卵管鏡下卵管形成術(FT)
- 男性不妊の検査・治療
- 凍結保存の継続・破棄
- タイミング療法
- 人工授精(AIH)
- 顕微授精(ICSI)
- 卵管鏡手術・子宮鏡手術
- 不育治療
- ホルモン補充療法・排卵誘発の注射・薬剤費
対象とならない治療
保険適用外の費用や、治療に直接関係のない費用は対象外となります。
当院の治療
- 卵子凍結
- ブライダルチェック
- 着床前診断(PGT-A)
- PFC-FD療法
- 出生前診断(NIPT)
- 先進医療の技術料
- その他自由診療(保険適用外の治療)
- 検査値に異常がなく、医師が治療として必要と認めない追加検査
- 診断書・証明書の発行料
当院の治療以外
- 美容目的の施術
- 差額ベッド代(個室料など)
- 入院時の食事代の自己負担分
- 健康診断・人間ドック(治療目的でないもの)
- 予防接種
- 妊活・体質改善目的の代替療法 鍼灸、整体、ヨガ、エステなど(医療機関での治療として行われていない場合)。
- 通院のための交通費
- 通院で利用した自家用車のガソリン代や駐車場代
- ホテル等の宿泊費
医療費控除と高額療養費制度との違い
| 医療費控除 | 高額療養費制度 | |
|---|---|---|
| 制度の種類 | 税金(所得税)の制度 | 健康保険の制度 |
| 対象 | 保険診療+自費診療の一部 (治療目的のもの) | 保険診療のみ |
| 計算期間 | 1年間(1/1〜12/31) | 1ヶ月(暦月)単位 |
| 申請先 | 税務署(確定申告) | 加入先の健康保険 (協会けんぽ・健保組合・市区町村など) |
| 受けられるもの | 所得控除による税金の軽減 | 限度額を超えた医療費の払い戻し |
※両方の制度を併用することができます。
自己負担限度額
自己負担限度額は、年齢と所得によって異なります。
70歳未満の方
| 所得区分 | 自己負担限度額(月額) | 多数回該当(※) |
|---|---|---|
| 区分ア (年収約1,160万円〜) | 252,600円 + (医療費 – 842,000円) ×1% | 140,100円 |
| 区分イ (年収約770〜1,160万円) | 167,400円 + (医療費 – 558,000円) ×1% | 93,000円 |
| 区分ウ (年収約370〜770万円) | 80,100円 + (医療費 – 267,000円) ×1% | 44,400円 |
| 区分エ (年収〜約370万円) | 57,600円 | 44,400円 |
| 区分オ (住民税非課税) | 35,400円 | 24,600円 |
(※)・・・多数回該当:直近12ヶ月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは限度額がさらに引き下げられます。
具体例
例えば所得区分「ウ」の方が、1ヶ月に100万円の医療費(10割)がかかった場合
- 窓口負担(3割):30万円
- 自己負担限度額:80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%=87,430円
- 高額療養費として払い戻される額:300,000円−87,430円=212,570円
高額療養費制度を利用するために
高額療養費制度を利用するには、主に2つの方法があります。
1. 事前に手続きする方法(窓口での負担を軽減)
入院や高額な治療が予定されている場合は、事前に手続きをしておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。
マイナ保険証を利用する場合
オンライン資格確認に対応している医療機関では、マイナンバーカードを健康保険証として利用し「限度額情報の表示」に同意することで、限度額適用認定証がなくても窓口負担が自己負担限度額までになります。
限度額適用認定証を利用する場合
加入している健康保険に「限度額適用認定証」の交付を申請し、医療機関の窓口に提示してください。
- 協会けんぽ:各都道府県支部に申請
- 健康保険組合:各組合に申請
- 国民健康保険:お住まいの市区町村窓口に申請
2. 事後に申請する方法(払い戻しを受ける)
窓口で3割負担などを支払った後、加入している健康保険に高額療養費の支給申請を行い、払い戻しを受けます。
※支給までに診療月から3ヶ月程度かかる場合があります。 ※健康保険組合によっては、申請不要で自動的に払い戻されることもあります。
3. 領収書・明細書を保管する
払い戻しの申請時に必要になる場合がありますので、医療機関の領収書は保管しておきましょう。