HSG(子宮卵管造影検査)とは|痛み・費用・検査の流れ・結果の見方を解説

「HSGを勧められたけれど、どんな検査なの?」「痛いって聞いたけど本当?」「結果が異常だったらどうすればいい?」——そんな不安を抱えている方に向けて、この記事ではHSG(子宮卵管造影検査)について基本から結果の見方まで丁寧に解説します。

この記事でわかること:

  • ・HSG(子宮卵管造影検査)とは何か・何を調べる検査か
  • ・検査の流れと当日の過ごし方
  • ・痛みの程度と痛みを和らげる方法
  • ・費用・保険適用・検査を受ける時期
  • ・結果の見方と異常が見つかった場合の次のステップ

本記事は、日本産科婦人科学会のガイドラインおよび各専門クリニックの臨床情報をもとに、不妊治療専門医の立場から作成しています。

HSG(子宮卵管造影検査)とは

HSG(Hysterosalpingography:子宮卵管造影検査)とは、子宮内腔の形態と卵管の通過性(卵管が詰まっていないか)を調べるための検査です。

子宮頸管から造影剤(X線に映る液体)を注入し、その流れをX線で撮影することで、子宮の形・卵管の通過性・閉塞の有無・狭窄の部位を確認します。不妊症の原因検索において最もよく行われる基本的な検査のひとつです。

HSGで何がわかるのか

確認できること内容
卵管の通過性片側・両側の卵管が開通しているかどうか
卵管閉塞の部位間質部・峡部・膨大部・卵管采など閉塞している場所
子宮内腔の形態子宮奇形・子宮内膜ポリープ・子宮筋腫による変形の有無
卵管水腫卵管の末梢側に液体が貯留していないか
子宮頸管の状態頸管粘液の通過性の参考所見

HSGが勧められる方

  • 不妊検査を始めたばかりで卵管の状態を確認したい方
  • クラミジア感染の既往がある方
  • 子宮内膜症・骨盤腹膜炎の既往がある方
  • タイミング法・AIHで妊娠に至らない方
  • FT(卵管鏡下卵管形成術)の適応を判断したい方
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HSG検査の流れ

検査を受ける時期

HSGは月経終了後から排卵前、月経周期7〜12日目頃に行います。この時期に行う理由は以下のとおりです。

  • ・月経中は子宮内膜が厚く正確な評価が困難なため
  • ・排卵後は妊娠の可能性があり造影剤を使用できないため
  • ・子宮内膜が薄い時期の方が子宮内腔を正確に観察できるため

検査当日の準備

項目内容
食事制限なし(クリニックの指示に従う)
服装着脱しやすい服装が望ましい
生理用品検査後に少量の出血・造影剤が出ることがあるため持参を推奨
鎮痛剤事前に処方される場合がある(クリニックによる)
付き添い原則不要。ただし痛みが強い場合に備えて同伴も可
車の運転検査後に痛みや気分不良が起きる場合があるため、公共交通機関の利用を推奨

検査の手順(所要時間:15〜30分程度)

① 来院・着替え・問診

② 内診台に乗る

③ 子宮頸管にカテーテルを挿入する
 (この時点で軽い違和感・痛みを感じる方が多いです)

④ カテーテルから造影剤をゆっくり注入する
 (卵管が開通していれば造影剤が腹腔内に広がります)

⑤ X線で複数回撮影する
 (正面・側面・斜めなど角度を変えて確認します)

⑥ カテーテルを抜去・内診台から降りる

⑦ 結果の説明を受ける
 (当日または後日説明)
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HSGの痛みはどのくらい?

HSGの痛みについては多くの方が不安を感じています。

痛みの程度(個人差があります)

HSGの痛みは個人差が非常に大きい検査です。

感じ方内容
ほとんど痛みを感じない軽い違和感・圧迫感のみという方も多いです
生理痛に似た鈍痛最も多い感想。造影剤注入時に下腹部の締め付けを感じます
強い痛みを感じる卵管が閉塞・狭窄している場合、造影剤が通りにくく痛みが強くなることがあります

卵管の通過性が良好な方は比較的痛みが少なく、閉塞・狭窄がある方はやや強い痛みを感じることが多いとされています。

痛みを和らげる方法

方法内容
事前の鎮痛剤服用検査30〜60分前にロキソプロフェンなどの鎮痛剤を服用する(クリニックに要確認)
深呼吸・リラックス緊張すると痛みを感じやすくなります。ゆっくりと深呼吸することを意識してください
担当医・スタッフへの声かけ痛みが強い場合は遠慮なく声に出してください。速度を調節してもらえます

検査後の体調について

検査後は以下の症状が出ることがありますが、多くは数日以内に落ち着くとされています。

  • ・下腹部の鈍痛・違和感
  • ・少量の出血・造影剤の流出
  • ・軽い倦怠感

以下の症状が続く・悪化する場合は速やかに担当医に連絡してください。

  • ・38度以上の発熱が続く
  • ・強い腹痛が続く
  • ・異常な出血・おりもの

HSGの費用と保険適用

保険適用について

HSGは不妊症の原因検索を目的として行う場合、健康保険が適用されます。2022年4月の不妊治療保険適用の拡大以降、HSGも保険診療として実施できるクリニックが増えています。

項目費用目安(3割負担)
HSG検査本体約3,000〜8,000円程度
造影剤・カテーテル費用別途かかる場合あり
診察・処方料別途かかる場合あり
合計目安約3,000〜10,000円程度

※クリニック・使用する造影剤の種類・麻酔の使用有無によって費用が異なります。事前に受診先でご確認ください。

自費診療の場合

保険適用外(自費診療)で受ける場合の費用は約15,000〜30,000円程度が目安です。検査の精度・方法は保険診療と変わりませんが、費用負担が大きくなります。可能な限り保険適用のクリニックで受けることをおすすめします。

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HSGの結果の見方

正常な結果

造影剤が子宮内腔を満たし、両側の卵管を通って腹腔内に広がっている状態が正常です。

【正常所見のイメージ】
子宮頸管
 ↓ 造影剤が入る
子宮内腔(正常な形)
 ↓
両側の卵管(均一に造影剤が流れる)
 ↓
卵管采から腹腔内に造影剤が広がる 

異常が見つかった場合

所見内容考えられる状態
卵管が造影されない造影剤が卵管に入らない間質部閉塞・けいれん(スパズム)の可能性
卵管の途中で造影が止まる造影剤が途中で流れなくなる峡部・膨大部の閉塞・狭窄
卵管末端が膨らんでいる卵管の先端に造影剤が溜まる卵管水腫の可能性
子宮内腔に陰影欠損がある子宮内腔の一部が映らない子宮内膜ポリープ・子宮筋腫・子宮奇形の可能性
腹腔内に広がらない造影剤が腹腔内に出ない両側卵管閉塞の可能性

HSGで「閉塞」と言われたら

HSGで卵管閉塞・狭窄が疑われた場合でも、すぐに手術が必要というわけではありません。まず担当医と以下の点を確認してください。

  • 閉塞している部位はどこか(間質部〜峡部か、末梢側か)
  • 両側か片側か
  • 卵管けいれん(スパズム)による偽閉塞の可能性はないか
  • 次のステップとして何が適切か(FT・腹腔鏡・IVFなど)

HSGの「閉塞」所見の中には、卵管けいれん(スパズム)による一時的な通過障害が含まれることがあります。再検査や卵管通水検査で確認してから治療方針を決めることが重要です。

HSGの結果次第の次のステップ

閉塞・狭窄の部位による治療の選択

閉塞の部位推奨される治療
間質部〜峡部(子宮側)の閉塞FT(卵管鏡下卵管形成術)が選択肢となることがあります
末梢側(卵管采)の閉塞腹腔鏡手術(卵管采形成術・癒着剥離)が適応となる場合があります
卵管水腫体外受精または腹腔鏡手術(卵管切除・閉鎖術)を検討します
両側閉塞で手術困難体外受精(IVF)へのステップアップを検討します
片側閉塞・反対側は開通FTまたはタイミング法・AIHを継続する場合があります

FTとHSGの関係

FT(卵管鏡下卵管形成術)を受けるためには、事前にHSGで卵管閉塞・狭窄が疑われる場合に検討されます。他院でHSGを受けた結果があれば、持参することでFTを実施するクリニックでの再検査が省略できる場合があります。

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HSGに関するよくある質問(FAQ)

Q. HSGは不妊検査で必ず受けなければいけませんか?

A. 必須ではありませんが、卵管因子は不妊症の原因の約30%前後を占めるとされており、原因検索において非常に重要な検査です。担当医と相談のうえ、受けるかどうかを判断してください。

Q. HSGを受けると妊娠しやすくなると聞きましたが本当ですか?

A. HSG後に妊娠率が上がる可能性があるという報告はあります。造影剤が卵管内を洗浄することで軽度の狭窄が改善される場合があるためと考えられていますが、効果の確実性については個人差があります。

Q. HSGはクリニックによって使う造影剤が違うと聞きました。どう違うのですか?

A. HSGで使用する造影剤には油性と水性の2種類があります。油性造影剤は画像の鮮明度が高く、検査後に妊娠率が上がりやすいという報告がある一方、アレルギー反応が起きる可能性が水性より高いとされています。水性造影剤は安全性が高く、検査後の排出が速いという特徴があります。どちらを使用するかはクリニックの方針・患者さんの状態によって異なりますので、担当医にご確認ください。

Q. 造影剤にアレルギーがある場合はどうすればいいですか?

A. 造影剤アレルギーの既往がある場合は事前に必ず担当医に伝えてください。アレルギーの程度によっては検査を行わず、卵管通水検査や子宮鏡検査など別の方法で卵管の状態を確認する場合があります。

Q. HSGの結果は当日わかりますか?

A. 多くのクリニックでは検査当日または検査後の診察時に結果の説明を受けられます。画像を見ながら担当医が説明してくれますので、疑問点はその場でご確認ください。

Q. 片側だけ卵管が詰まっていると言われました。もう片側が開通していれば自然妊娠できますか?

A. 片側の卵管が開通していれば、その側の卵巣から排卵した場合に自然妊娠できる可能性があります。ただし年齢・AMH値・精子所見・閉塞した側の原因などによって判断が異なりますので、担当医と今後の治療方針を相談することをおすすめします。

まとめ

項目内容
HSGとは造影剤を使って子宮内腔と卵管の通過性を調べるX線検査
検査時期月経終了後〜排卵前(月経周期7〜12日目頃)
所要時間15〜30分程度
費用目安保険適用で約3,000〜10,000円程度
痛みの程度個人差が大きい。生理痛に似た鈍痛を感じる方が多いとされています
わかること卵管の通過性・閉塞部位・子宮内腔の形態・卵管水腫の有無
異常があった場合部位・状態によりFT・腹腔鏡手術・IVFを検討

参考)

※本記事の情報は一般的な医学知識に基づいており、個々の症状・治療方針については必ず担当医にご相談ください。 ※本記事の情報は作成時点のものです。制度・費用は変更される場合があります。最新情報は担当クリニックにご確認ください。

助産師より

HSG(子宮卵管造影検査)は、不妊検査の中でも「痛いと聞いて怖い」「結果が悪かったらどうしよう」と不安を感じやすい検査のひとつです。

特に初めて不妊検査を受ける方にとっては、検査そのものへの緊張だけでなく、「もし卵管が詰まっていたら…」という気持ちの負担も大きいと思います。

ですが、HSGは“妊娠しにくい原因を探すための大切な一歩”でもあります。

実際には、HSGで「閉塞」と言われても卵管けいれん(スパズム)による一時的な通過障害だったり、片側だけの閉塞だったりするケースもあります。また、現在はFT・腹腔鏡手術・体外受精など治療の選択肢も増えており、結果によってすぐに「妊娠できない」と決まるわけではありません。

検査当日は緊張して痛みを感じやすくなることもあります。不安なことや痛みが強い時は、遠慮せず医師やスタッフへ伝えてくださいね。

妊活は、身体だけでなく心にも負担がかかりやすいものです。焦る気持ちや落ち込む気持ちが出てくるのは自然なことですので、一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けながら進めていってください。

あなたに合った方法を、一歩ずつ見つけていけるように応援しています。

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