男性不妊の種類
- 乏精子症
精子の数が少ない状態もしくは1㏄あたりの精子の濃度が低い状態 - 精子無力症
動いている精子の数が少ない状態
当院では前に進んでいる精子、早く動いている精子の割合なども調べます - 奇形精子症
精子の形が悪い状態
奇形精子の受精率は低いといわれます。簡易的な検査で奇形精子が多い場合は、精子を染色して形の詳しい検査を行います。 - 無精子症
精子がいない状態
ホルモン検査の結果等も踏まえ、原因に合わせて、精巣から精子を回収する手術や、ホルモン治療などを行います - 性交障害
勃起や射精の問題などでうまく性交渉が行えない状態
勃起治療薬などを用いて治療を行います。ARTを併用することもあります。
男性側の不妊の原因
不妊治療はとかく女性だけが行う治療と思われがちですが、実は全体の約25%程度は男性側に原因があることがわかっています。
男性不妊については、現代の医学をもってしても半数以上が原因不明とされています。しかしながら全体の約25%程度は男性側にも原因があることがわかってきています。男性不妊については見た目だけでは判断がつかず、自覚症状もないため詳しい検査をしてもどこに問題があるのかをはっきりと突き止めることはなかなか難しいものとされています。ひとつひとつ男性側の不妊原因となるものを女性同様、丁寧にひも解く必要があります。とはいえ、妊娠は女性側との問題も複雑に絡みあっています。男性・女性どちらに問題があるのかは一概には判定できないものです。
精巣で精子を作る力が低下 | ・精索静脈瘤:30.2% ・染色体・遺伝子異常など:10.1% ・原因不明(特発性):42.1% |
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勃起や射精の問題 | ・勃起障害:6.1% ・射精障害:7.4% |
精子の通り道が詰まっている | ・閉塞性無精子症:3.9% |
主な男性側の問題として考えらえること
男性は射精ができればその中に必ず精子があると信じられている方も多いと思います。しかしそれは大きな間違いです。精子の有無については専門の詳細な検査を受ける必要があります。加えて、疲労・ストレス・喫煙・過度の飲酒・肥満・睡眠不足・高熱にさらされること(長時間のサウナなど)なども精子の形成に大きなダメージを与える要因として考えられています。
男性側が行う検査
問診 | ・精巣の病気や手術・けがの有無 ・持病や内服している薬の確認 ・性の悩み等 |
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精巣超音波 | 精巣の超音波検査で腫瘍や精索静脈瘤の有無を確認 |
ホルモン検査 | ・精巣を刺激するホルモン(FSH・LH) ・男性ホルモン(テストステロン) ・女性ホルモン(エストラジオール) ・乳腺刺激ホルモン(プロラクチン) |
抗精子抗体 | 精子を止めてしまう抗体を持つ方がいます。 その場合は精子がすぐ止まってしまい、卵子に自力で入っていくことが難しくなります。 |
精液検査
精子の有無や濃度、運動率や白血球数、精子の形態までを詳細に観察することができる検査です。しかしながら、精液所見は日々変動することがわかっています。ゆえに1度の精液検査だけでは正確に判定できないこともあります。無精子症などは遺伝的な問題が深く関わっていることもありますが、精子の運動率の低下や奇形などの異常は、決して限られた方だけに起こる特異な問題ではなく一般的にもよくある事例のひとつです。禁欲期間が長くなってしまうと精子運動率は低下する傾向がみられますし、疲労・ストレス・喫煙・過度の飲酒・肥満・睡眠不足・高熱などは精子の形成に悪影響を与えるものと考えられています。どこにどんな問題があるのかを精緻に分析するためにも精液検査はとても重要な指標となります。
検査費用について
精液検査(CASA含む)
- 精液検査/5,000円
- クルーガーテスト/4,000円
※検査は自費となります。
何らかの明らかな異常所見が見つかった場合
精液検査にて何らかの異常所見があった場合には、男性不妊専門のクリニックや高度医療機関へのご紹介をさせていただきます。
健康な精子を作るために普段から意識できること
日常生活の中で規則正しい生活を心がけることは全身状態の健康のためにもとても大切なことです。タバコやアルコールをはじめ、睡眠不足や過剰なストレスを避けるなど健康的な生活に意識高くこだわることは妊娠率を高めることだけでなくご自身の将来にとってもとても重要なことです。
当クリニックが推奨する健康な精子を作る18つの約束
- 禁煙
- ブリーフよりもトランクス
- 飲酒は適量に
- 長風呂、長サウナは控える
- 自転車、バイクに乗りすぎない
- 放射線に要注意
- 育毛剤を飲まない
- 規則正しい生活
- 膝上でノートPCを使わない
- 禁欲しすぎない
- 運転しすぎない
- 携帯電話は精巣から離す
- 昔ながらの食生活
- 太りすぎない
- アンチエイジングを考慮
- 有機化合物に注意
- 環境ホルモンに注意
- 心理ストレスの軽減
例えば、サウナや長風呂が好き、自転車や自動車に長時間乗ることが多いなど日常生活の中にもさまざまな要因が密接に関わっている可能性が考えられています。少しずつできることから改善を図る努力はとても大切なことです。
奥様と二人三脚で妊娠について学ぼうとする姿勢が重要です
不妊治療にあたっては奥様との心身含めての二人三脚であることは言わずもがなです。不妊治療というとどうしても女性側ばかりが負担を強いられるイメージがありますが、例えば奥様がご受診されるタイミングでご自身も一度検査を受けてみることはとても大きな一歩となります。また、昨今ではスマートフォンを活用した簡易的な検査キットも登場し、精液検査は一般の方にとってもとても身近なものになってきています。
カウンセリングも行っております(予約制)
不妊治療においては男性側にとっても肉体的・精神的なケアが必要となります。当クリニックにおいてもカウンセリングなどを通じてメンタル面でのサポートをさせていただく体制作りを行っております。不安に思うお気持ち、戸惑うお気持ちなどは男性も女性も同じです。決して過度なストレスとして抱え込まれることなどがないように、診療の場やカウンセリング(予約制)などを通じて力強くバックアップさせていただければと思います。
明確に数値的な異常があればそれに対する効果的な治療法をご提案することができますが、一方で何も異常がないとされた場合においても実際に妊娠にまでなかなかこぎつけることができない方も一定数いらっしゃることはひとつの事実です。
これからご夫婦で力を合わせて子供を授かっていくという大きな目標の中で、夫婦としての絆や協力体制をあらためて確かめ合う作業はとても重要な意味を持ちます。当クリニックでは男性不妊のご相談も広くお受けいたしておりますので、まずはご相談ください。