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【専門家が解説】知りたい!子宮内膜の厚さって妊娠にどう関係するの?ふかふかにするには?

[2023.02.01]

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妊娠するには、元気な卵子と精子 、そして受精卵が育つ場となる子宮内膜が必要です。子宮内膜は周期的に厚みが変化しますが、この子宮内膜の厚みが妊娠に影響する場合があります。子宮内膜の厚さと 妊娠の関係について、くわしく解説します。

子宮内膜とは?

子宮内膜 とは、子宮の一番内側をおおう組織です。子宮を風船に例えるなら、風船の内側が子宮内膜、風船のゴムが子宮筋層(筋肉でできた層)そして外側が子宮漿膜(しきゅうしょうまく)です。子宮の大部分は筋肉でできているので、ゴムの分厚い風船とイメージするとわかりやすいでしょう。

この子宮の内側にある子宮内膜は2層になっていて、内側の機能層(きのうそう)と外側の基底層(きていそう)と呼ばれる層に分かれます。内側の機能層は、生理周期に合わせて厚みや状態が変化します。外側の基底層(きていそう)は、生理周期の影響を受けません。

子宮内膜の機能層の変化によって、子宮内膜の厚みが増し、着床への準備が整えられていきます。受精卵 ( 胚 )が来ず、 着床 の準備の必要がなくなると、機能層が壊れて生理がおこり、子宮内膜は薄い状態にもどります。

子宮内膜とは?

子宮内膜の厚さとは?

子宮内膜は、 生理周期 や妊娠によって厚みや状態が変わります。どのような変化があるか見てみましょう。

子宮内膜の厚みの正常値

子宮内膜は、生理周期によって1mm~10mm程度まで変化します。この変化は、女性ホルモンである エストロゲンやプロゲステロンの分泌量によってコントロールされています。
生理開始日から排卵前までを「卵胞期」、排卵日あたりを「排卵期 」、排卵後から生理開始日前までを「黄体期 」といいますが、子宮内膜が最も厚みを増すのが黄体期 です。

生理前の子宮内膜の厚み

生理前の時期は、黄体期にあたります。受精していれば、受精卵が子宮内膜に到着する時期です。黄体期には、ふかふかの子宮内膜で受精卵を迎えられるように、子宮内膜が10mm前後まで厚くなっています。

生理中の子宮内膜の厚み

生理中には、厚くなった子宮内膜が壊れてはがれ落ちていき、それが 経血 となって体の外に流れ出ていきます。生理終了直後には、1mmほどの厚みになり、次回の 排卵 に向けてまた少しずつ厚みを増していきます。

妊娠初期の子宮内膜の変化

妊娠すると、子宮内膜は厚みの変化ではなく、状態が変化します。子宮内膜は 受精卵 が 着床 するころに状態が変化し、脱落膜(だつらくまく)という状態になります。妊娠が進むと、子宮内膜全体が脱落膜になり、胎児と羊水を包む薄い膜(卵膜といいます)の一番外側にあたる部分になるのです。

さらに脱落膜の一部は胎盤の底になる部分に変化し、胎児へ栄養や酸素を送る働きを持つようになります。妊娠すると、子宮内膜が胎児を守り育てる機能を持つように変化することがわかりますね。

子宮内膜の厚さとは?

子宮内膜の厚さによる妊娠率・着床率・流産率

受精卵が着床するには、厚くふかふかな子宮内膜であることが望ましいです。子宮内膜が薄いと、妊娠率が下がる傾向があるといわれていますが、具体的に厚みが何mmあればいいのでしょうか?

クリニックや病院によって治療成績は異なりますが、一般的に子宮内膜が8mm未満だと妊娠率(着床し、子宮内に胎嚢が確認できる率)が下がることが知られています。そのため、8mm以上あることが望ましいとされています。

また、海外の研究報告では、子宮内膜が6mm未満の場合には流産率が高いという結果もあり、子宮内膜が厚いほうが妊娠しやすく、育ちやすいと言えるでしょう。

しかし、子宮内膜が薄くても妊娠できるケースもあるため、子宮内膜の厚さだけで妊娠できるかどうかを判断するのは難しいことです。妊娠には多くの要因がかかわってくるため、子宮内膜の厚みがすべてではないことを知っておきましょう。

子宮内膜をふかふかにする方法

厚みのあるふかふかの子宮内膜にするには、ホルモンバランスを整えることが大切になります。なぜなら、子宮内膜の変化には、エストロゲンとプロゲステロン の2つの 女性ホルモン がかかわっているからです。

例えるなら、卵胞期に エストロゲンが受精卵のためのベッドを作り、黄体期にプロゲステロンがふかふかのふとんを準備するイメージです。どちらも受精卵にとって居心地のいい状態を作るために必要なホルモンですので、卵巣の働きを良い状態に保ち、ホルモンバランスを整えることが子宮内膜を厚くふかふかにする方法と言えます。

ホルモンバランスを整える方法を具体的に見てみましょう。

食事は栄養バランスに気を配る

栄養バランスの整った食事は、ホルモンバランスを整えるのに大切です。からだに必要な栄養が足りないと、卵巣が正常に機能できず、生理不順や無月経、不妊 の原因になることも。

日本では、18~29歳の女性でやせの人の割合が約20%と多い状態が続いています。やせの原因として、無理なダイエットや、偏った食事によって必要な栄養素が摂れていない「新型栄養失調」が増えているため、下記の栄養素を意識的に摂るようにしましょう。

特に、ビタミンEは子宮内膜への血流を良くする効果が期待できるため、子宮内膜をふかふかにするのにぜひ摂っておきたい栄養素です。

栄養素 多く含まれる食品
たんぱく質 肉・魚・卵・大豆・牛乳・乳製品
炭水化物 ご飯・パン・いも・めん類
ビタミンA レバー・うなぎ・人参・卵
ビタミンB1 豚肉・大豆・玄米
ビタミンD 魚(サケ、サバなど)・キノコ類・卵
葉酸 アスパラガス、ほうれん草、さつまいも、豆類
カルシウム 牛乳・海藻・小魚・乳製品・大豆製品
亜鉛 牡蠣・赤身の肉・甲殻類・うなぎ・卵黄
レバー・貝類・ひじき・ほうれん草・小松菜
ビタミンE ナッツ類・ほうれん草・ブロッコリー

これらの食品を毎日食べるのは大変と感じる人も多いでしょう。簡単にとる方法としておすすめなのが、具だくさんのお味噌汁やスープをまとめて作っておくことです。大きな鍋に数日分作っておけば、温めるだけですぐに栄養たっぷりな一品ができあがります。

子宮内膜をふかふかにする方法

引用元)厚生労働省

適度な運動を日課に

運動不足はからだの冷えをまねき、卵巣の機能を低下させる可能性があります。しかし、運動する時間が取れない人も多いでしょう。歩く速度を早めたり、乗り物やエレベーターを使わずに歩いたりするなど、日ごろから体を動かすことを意識するといいですね。

1日の歩数が5,000歩未満の女性が増えているため、スマートフォンのアプリなどを利用して、1日にどれぐらい歩いているのか確認してみましょう。少しずつ、歩く歩数を増やしていけば、運動量のアップにつながります。

また、お風呂中や寝る前のちょっとした時間にストレッチやヨガをするのもおすすめです。妊娠後も続けやすいので、妊娠中の運動不足の予防にもつながるでしょう。

ストレスはこまめに発散する

ストレスは、ホルモンバランスを乱す大きな原因になります。ストレスで生理が遅れたり、来なかったりした経験をした人もいるでしょう。ストレスの原因から遠ざかるのが一番ですが、それができない場合はストレスを受ける時間を減らしたり、受けたストレスをこまめに発散することが大切です。

仕事の量を調整したり、趣味の時間を設けたりするなど、できるところからストレスを減らしていきましょう。

引用元) 厚生労働省

助産師からのメッセージ

助産師 中友里恵

中友里恵

妊娠というと排卵や受精の有無だけが重要だと思われがちですが、着床のステップも妊娠維持にはとても大切な役割です。あたたくてふかふかなベッドと、薄くて冷たいベッドがあったら、前者の方が心地よいですよね。赤ちゃんを万全の状態で迎えてあげるために今から準備をしていきましょう。

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