FT(卵管鏡下卵管形成術)は“誰に向いている?”

FT(卵管鏡下卵管形成術)は、卵管の通過不良が疑われるときに検討される手術です。重要なのは、すべての方に必要なものではないという前提を理解し、合う人に、合うタイミングで適切に行うことです。合わない状況で無理に進めれば、かえって時間や負担のバランスを崩すことがあります。この記事は、受診前に「何を確認しておくと良いか」をまとめています。

FTの目的:卵管の通過性を“整える”

FT(卵管鏡下卵管形成術)のは、卵管の入口付近(近位で通りが悪くなっている可能性があるときに、卵管造影下で細い器具を用いて状態を評価し、状況に応じて通りやすさの改善を図ることです。一般に日帰りで実施されることがありますが、実施体制・麻酔・準備・所要時間などは施設により異なることがあります。また、FTは妊娠の成立を保証するものではありません。目的・期待できる範囲・代替案・リスクを、術前のカウンセリングで丁寧に共有することが大切です。

適応を考える4つの視点とは

1)HSG(卵管造影)所見:どこに、どの程度の“通りにくさ”が察せられるか

HSG(卵管造影)では、近位(卵管の入口部分)か遠位(卵管の末端、出口部分)か、片側か両側か、造影剤の広がり方や卵管水腫の有無などを確認します。片側または両側の卵管閉塞や狭窄がある場合、FTを検討する場面が生まれます。一方、遠位の癒着や水腫が示唆される場合は、腹腔鏡などの他の術式を優先的に考えることがあります。

2)年齢:時間価値と方針のバランス

年齢は、妊娠をめざすうえでの時間価値に直結します。時間を優先すべき状況では、FTよりもIVF(体外受精)の準備に重きを置くことがあります。比較的若年で他因子が軽度なら、FTで通過性を整え、数周期(目安3か月)ほど自然~AIHで検証してから見直す段階的アプローチも現実的です。

3)他因子:卵管“以外”の要因があるか

排卵状況、卵巣予備能(例:AMH)、精子所見、内膜症、クラミジア感染の既往、骨盤手術歴など。卵管以外の因子が大きい場合、FTで通過性を整えても妊娠に結びつきにくいことがあります。その際は、他因子へのアプローチやIVFの検討が優先されることがあります。複数要因が重なるときほど、総合設計が重要です。

4)時間軸:いつまでに、何を、どの順番で試すか

「いつまでに」「どの選択肢を」「どの順番で」試すのかを考えます。例:FTが合うと判断→数周期(目安3か月)は自然~AIHで検証→結果で見直し/IVFを相談。合わないと判断→IVFの準備(必要に応じて前処置)を先に進める、など。

FT(卵管鏡下卵管形成術)は“誰に向いている?”

FTが自分に合うのかを医師に相談してみよう

FTが自身の治療に合うのかを医師に相談する際、以下の質問をしてみましょう。

  • ・所見の部位は近位(卵管の入口部分)か遠位(卵管の末端、出口部分)か
  • ・片側/両側の詰まりか?
  • ・卵管水腫の示唆はあるか(他の術式の検討が必要?)。
  • ・排卵・卵巣予備能・精子所見など他因子はどうか。
  • ・FT後、どのくらいの期間を目安に自然~AIHで検証するか。
  • ・合わない場合の代替案は何か(IVF等)。

FT手術の流れ

実施体制・麻酔・所要などは施設により異なることがありますが、一般的なイメージは次の通りです。

  1. 来院・最終確認:同意書、既往・アレルギー・服薬状況の確認。
  2. 実施:局所麻酔、または静脈麻酔下で行います。所要時間は30分程度です。
  3. 安静・帰宅:体調に応じて院内で休憩後、帰宅。生活上の注意点を再確認。
  4. 術後プラン:自然~AIHの計画、見直し時点(目安3か月)を共有。
FT(卵管鏡下卵管形成術)は“誰に向いている?”

術後3か月の見直し

FT後は、数周期(目安3か月)をひと区切りとして、計画した取り組みの実施状況・体調・生活の実感・追加検査の結果などを整理します。期待した変化が得られない場合は、IVFなど別の選択肢へ軌道修正を検討します。

状況に応じて選ぶ代替えの治療

  • 計画的な待機・AIH:比較的若年で他因子が軽度、片側通過がおおむね保たれているときに検討します。
  • 腹腔鏡・IVF前処置:遠位癒着・卵管水腫などの可能性がある場合に検討します。
  • IVF:年齢要因が強い、両側重度閉塞、他因子の影響が大きい等では優先することがあります。

いずれも、さまざまな視点を考慮して検討されます。

FT(卵管鏡下卵管形成術)は“誰に向いている?”

助産師より

FTはすべての方に必要な治療ではなく、状況やタイミングによって合う・合わないが分かれます。大切なのは「自分に合う方法を、自分に合う順番で」選ぶことです。治療を進める中では、焦りや不安を抱くことも自然な感情です。

しかし、それを一人で抱え込まず、医師や助産師と一緒に整理していくことで、納得感のある選択につながります。検査や治療の一つひとつには意味があり、振り返りの時間もまた前進の一歩です。迷いや疑問があるときこそ、遠慮せずに声をかけてください。小さな不安を共有することで、次の道筋がより明確になり、安心して進む力になります。

あわせて読みたい関連記事

CONTACT

不妊に関するお悩みご相談ください

HOURS / ACCESS

診療時間・アクセス

診療時間(※1)水(※2)
午前8:45
|
12:30
休診8:45
|
12:30
8:45
|
12:30
8:45
|
12:30
8:15
|
12:30
8:30
|
12:30
8:15
|
12:30
午後15:00
|
19:30
休診15:00
|
19:30
14:30
|
17:30
15:00
|
19:30
14:15
|
17:00
休診14:15
|
17:00
坂口院長--
樋口医師-
杉山医師(女医)-------
萩生田医師(泌尿器科)-------

※1:日程により担当医師が変更となるため、詳しくは「お知らせ」ページの担当医スケジュールをご覧ください。
※2:萩生田医師(泌尿器科)は水曜日午後のみの診療となります。

最終受付は30分前までになります。
採卵周期開始、周期中の方、移植周期中の方はホルモン採血がありますので、予約時間の30分前には来院してください。
初めての採卵周期に入られる方は1時間前に来院をお願いします。

〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1-37-2 三茶ビル5F
三軒茶屋駅から徒歩2分
TEL:03-6450-7588

SNSでコンテンツを公開しています!

LINE
YouTube
X (旧Twitter)
Instagram
LINK

提携施設